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自動運転バス、7年目の挑戦


2024/07/30

 北海道のほぼ真ん中に位置し、帯広市から車で約1時間の距離にある上士幌町。人口5千人に満たない小さな町で続ける、大きな挑戦があります。

北海道上士幌町の自動運転バス

 上士幌町内を走る自動運転バスは、運転席もハンドルもないフランス製の電気自動車です。運転手の代わりに走行をサポートするオペレーターが乗車し、コントローラーとタッチパネルで操作を行います。車内にあるタッチパネルを操作すると、事前にマッピングされたデータにより自動で走行を開始します。

 自動運転バスに関する取り組みについて、町デジタル推進課職員の鈴木さんに話を伺いました。

自動運転バス実用化への挑戦

――上士幌町では2017年に初めて公道での自動運転バス実証実験を行っていますが、なぜこの取り組みを始めたのでしょうか。

 初めは、民間企業から「自動運転バス事業を始めませんか」と声をかけていただいたことがきっかけでした。上士幌町では主な移動手段は自家用車となっています。将来的に人口減少が進んでいく中で、地域の交通網をどう維持していくかという課題を抱えていました。地域公共交通課題の解決策の一つとして、自動運転バスという新しい技術の活用に取り組んでいます。

――運転手を必要としない完全な自動走行(自動運転レベル4)の実現に向けて、現在どのような進捗状況なのでしょうか。

 道路交通法の改正により、2023年4月からレベル4の自動運転が法律上可能となりました。上士幌町ではレベル4の実現に向けて段階的に申請を進めており、一部区間での自動運転レベル4の実施を令和6年度中に実現することを目指しています。

⇒自動運転のレベル分けについて - 国土交通省

自治体初のAI車掌「萩音士清平(しゅうおんじきよひら)」

――今年の4月から導入されたAI車掌について教えてください。また、自動運転バスの取り組みとどのような関係があるのでしょうか。

 AI車掌の「萩音士清平」は音声認識や回答の生成、音声合成技術による高い対話能力を持った自治体初のバーチャル車掌です。将来的に自動運転バスが無人で走行するようになった際の、車内のコミュニケーション活性化や乗客の不安解消を目的として導入しました。AI車掌はバス停留所の案内をする他、自動運転バスの仕組みや観光情報など様々な質問に答えることができます。

 名前は上士幌町の地名を切り取って名付け、牛や気球をモチーフにしたデザインをあしらうことで上士幌町らしさを表現しています。


自動運行バスが目指す役割

――自動運転レベル4が実現できた場合、将来的にどのように自動運転バスを活用していくのでしょうか。

 自動運転バスは、あくまで地域公共交通のひとつの手段として考えています。自動運転レベル4が実現し、様々な場所に自動運転バスが運行できるようになることで、既存のコミュニティバスと組み合わせた利便性の高い交通網の構築を目指しています。

 また将来的には自動運転バスに、単なる移動手段だけではなく、移動中のサービスや広告収入など様々な付加価値をつけていきたいと考えています。

実際に自動運転バスに乗ってみて


 上士幌町の自動運転バスは時速20kmほどで走りますが、実際に乗ってみると意外と速く感じます。取材時は一時的な大雨になりました。

 道の駅かみしほろ前のバス停から乗車した町民にお話を聞きました。おふたりは帰ろうとしたところ突然の大雨が降っており、自動運転バスで帰ることにしたそうです。普段から度々利用しており、『買い物をした後に重い荷物を持って歩くのが大変なので、自動運転バスで帰ることがある』とおっしゃっていました。バス停は病院や銀行、学校などの近くにあり、自動運転バスが町民の足の役割を担っていることを感じました。

 日本全体で人口減少と人材不足が深刻化しています。上士幌町だけでなく国内の地域公共交通をどう維持していけるのか、課題解決の糸口を見つけることにふるさと納税の寄付金を活用しています。

※自動運転バスの取り組みを応援いただける場合は、ふるさと納税の使い道で「デジタル社会の推進」をご選択ください


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